『GJ部』

GJ部(グッジョぶ) (ガガガ文庫)

GJ部(グッジョぶ) (ガガガ文庫)

部室に行くとちらほら人がいて、適当な椅子に腰かけて、テーブルの上にある本をなんとなく手に取った。
「じーじぇいぶ?」
「……グッジョぶ」
「へえ、なんかいたいね」
話をしながら本を読んでいるとあんまり内容が頭に入らないけど、そう言ったら、もともと物語なんてないからいいんじゃない、と言われた。四ページずつの下らない学生のやりとりが延々と続いていく。読んでいて眩暈がした。イラストが非常に多くて可愛らしい。
「もうさ、本じゃなくていいと思うんだけど、どうして書籍なのかな?」
知らないよ、そんなことは。長い文章よりも短いほうが読みやすくていいから、勝手に物語は細かく切り刻まれていって、そして物語は死ぬと思うのだけれど、どうだろう。物語の亡霊ってのはいまだ某所には徘徊しており、ストーリーとかなんにもなくてぺらっぺらである風を装って、ちゃっかり過去とか面倒だったりすると、やだね。
「なかみなんてなんにもなかった」
「つまんないつまんないつーまーんーなーいー」
「何が?」
「ここが。いうなれば世界が」
「世界って? もっと萌え絵で説明してよ、そうすればみんなハッピーだ」
四ページの文章につき、二ページのイラストが置かれてて萌える。おしゃべりしながら読んでるとよく理解できない。そう、ぼくはまったく覚えていない。ライトノベルにはキスシーンが少ないとか書かれていたっけ。解体して解体して、何も残らない。時間が流れた。